不思議ちゃんは怖い女?2
私は待ち合わせ場所であるホテルのロビーに行った。
そこには黒のチュニック姿の女性がいた。
私よりも10歳近く若いことは承知していたが、「年相応」と言ったところか。
挨拶をして「中華でも大丈夫?」と聞いて、同意を得ると地下のチャイニーズレストランに行った。
改めて自己紹介をして、食事をした。
彼女は地方からこの地に出て来て就職をし、やがて結婚をしたらしい。
残念ながら子宝には恵まれていないが、あまり子供は好きではないので、それはそれで致し方ないと思っていると言っていた。
主婦をしながら平日はランジェリーショップでバイトをしていると言っていた。
正直なところ特筆すべきところがない、地味な感じな女性で会話に長けている風ではなかった。
しかし、人懐っこくはあり、終始にこにこしているのが印象的であった。
それにあまりこうした場所での食事には慣れていない感じでもあった。
私は彼女が当惑しているのがわかっていたので「構わずかぶりついちゃえば?」と笑顔でアドバイスしてみたりした。
そして、その通りにする彼女を見て、微笑ましいなと思うのであった。
会話を進めるうちに彼女には双子の妹がいることがわかった。
私は興味深い話だな、と思った。
今もそうしているのかはわからないが、私が子供の頃、東京大学の付属中高は双子を集めて研究をしていたと思う。
そんな話を思い出して、双子の話を聞いてみた。
それは違う人生を歩みながらも、切れない関係であるようなことを彼女は言っていた。
例えば、彼女がボーイフレンドと神威岬に行ったら、妹もまた同じように彼氏と来ていたなど、説明はしにくいが同じような行動を取ることを話してくれた。
その日はランチをして別れた。
正直なところ、この先進展があるようには思えなかった。
彼女も緊張でたどたどしかったが、私もまたあまり上手に会話を引き出せなかったのも事実であった。
職場を出て二時間が経過していた。
彼女から御礼のメールが来ていた。
「またお会いしたいな」
そう書いてあったから関係は継続できるのであろう。
しかし、これはあくまで勘でしかないが、そう長続きしないかな?とも思ったのも事実であった。
初デートでチュニックを着てくる女性には「そそられない」というところが正直なところなんだよね。
でも、彼女からすれば○だったみたいだ。
私は次回のアポを取り付けようとした。