遠来の女はかなり発展的~その3
ついにその日はやってきた。
私は朝から気持ちがかなり馳せていた。
その日の仕事を早く終えるためにかなり早く出社した覚えがある。
午後6時になるとそそくさと仕事を終えてすすきのの街に向かった。
その女性は既に仕事を終えて、予約をしていたイタリアンのところまで来ているという。
入口に行くとらしき女性がそこにいた。
「あの?」
「はい」
短い言葉で確認が取れた。
イタリアンの中に二人で入ったのだった。
眼鏡をかけた真面目そうな女性であった。
いや、正直な感想を言おう。
とても300人あまりの男性に抱かれ、今も尚、ハプニングパブからお持ち帰りされる女性とは思えなかった。
出会い系サイトで会ったとたんに逃げ出す輩がいるというが、その対象になりそうな女性であった。
私の場合は女性の経歴などから興味本位のうちにこの場を迎えているし、サイト内で既にセックスをすることで合意をしているのであるが、初対面でわざわざこの女性に行く男性がそれほどまでに多いのは如何にセックスに飢えた男性が多いか?ということになる。
いやいや、私もまたその一人。
サイトで何度もメールをしているとは言いながら本日初対面なのである。
酒と料理を取って、夕食を開始した。
女性からすぐさま質問がきた。
「彼女とデートしたのはいつ?」
「会っただけなら昨日ランチしました」
「デート=セックスとはならないんだ?」
「会う頻度が高いので、毎回とはなりません。ただ少ないのは事実なのでちょっと身体をもて余し気味です。貴女の場合はどうですか?」
「会うのは月二回くらい。毎回朝から夕方までホテルで過ごすけど、セックスをするのは毎回とはいかないわ」
300人あまりの男性とセックスをしながら、30年来の彼氏がいることは聞いていた。
それだけ長くお付き合いをしながら毎回ホテルデートなんだ…と思った。それはそれでつまらなくないのかな?と。
確かにこの女性の住まう土地からしたら、目立ってしまうのでそれも致し方なしなのかもしれない。
「ワンナイトの相手ってすぐに見つかるんですか?」私は質問をした。
「基本的にセックスをしたくてその場に来ているし、女性は少ないからすぐに声はかけられるよ」
そうなんだ…。
そういうところに行く男性からすると「獲物なしでは帰れない」という心理なのかな?と思った。
再び質問をしてみた。
「そういうところで満足のいくセックスは得られるのですか?」
「ほとんどないわね。男性が出しておしまいみたいな感じかな(笑)」
「今日はそうならないようにしますね」
ちょっと余裕をかましてそう言ってみた。
女性は淡々と落ち着いて会話をしてきたから、ちょっと対抗してみたかったのである。
「ところで私のこと気に入ってくれましたか?」
と聞いた。
「すごく素敵だと思う」
その言葉を聞いて、こう言った。
「じゃあそろそろ馬鍬いに行きますか?」
「あら。直接的ね」
そう言った女性の表情は嬉しそうであった。
つづく