遠来の女はかなり発展的~その4
私達はイタリアンを出るとすすきののラブホテル街に向かった。
彼女は慣れている?のか、敢えて私の1mくらい後ろを歩いていた。
これからラブホテルに入ります、という雰囲気を周囲に見せないためなのだろうな、と思った。
駅前通りからラブホテルが乱立する側の横道に入る時に私は声をかけた。
「手ぐらい繋がない?」
すると嬉しそうな顔をして私の手を握ってきた。
手はしっとりとしていた。
初めて手を繋いだ時に女性の手に湿度を感じることは往々にしてある。
汗を手にかくということは体質にもよるが、基本的には末梢神経がコントロールできていない証拠だ。
そこは中年同士とは言いながらも女性の緊張感を感じ初々しさを覚えるところではあるが、この女性に関しては緊張感ではなく興奮していることを感じてしまった。
あまりきれいではなさそうであるが、そこから一番近いラブホに入った。
部屋を選ぼうとしてパネルを覗き込んでいると彼女が横からボタンを押した。エコノミークラスの部屋である。
セックスができる空間があればそれで良いという表明か?
部屋に入ってからも落ち着いたものであった。
不倫関係においては清楚に見える女性でも、この二人だけの空間に入った瞬間にスイッチが入るものである。
これはサイトのプロフィール欄に「エッチ目的お断り」としながらもお付き合いが開始され、気にいった男性であれば、やはり「したい」のである。
いや、清楚な女性ほど抑圧されていた感情が一気に感情と行動に出ることが多いような気がする。
この女性は違っていた。
キスも抱擁も求めてくることもなかった。
一人でさっさとバスルームに入るとシャワーの音がした。
しばらくするとバスローブを纏った彼女が出てきた。
「どうぞ」
促されて私もシャワーを浴びた。
初めてキスをしたのはベッドインしてからであった。
つづく