先生を生業とする女2
私はあえて下手(したて)に出てメールを送ってみた。
「皆さんからきれいとの評価を受けている女性と是非お付き合いをしてみたいと思い、メールさせて頂きました」
なぜへりくだるようなことをしたか?というとその職業が「先生」となっていたからなのであった。
権威職と言われる「先生」の場合、このようにした方がいいことを私は自らの仕事の経験上わかっていたのだ。
昔のようにはいかないが、それでも上から物を言うことが多い商売だ。そこに対しては畏敬の念を持って接することの方が相手もまた親和性をもって接してくるものである。
「自分ではそうでもないと思っているんだけど…」返信がきた。
「ご謙遜を。評価というものは他人がするものだと常々思っております。だからおきれいなのでしょう」すかさず返した。
何度かやり取りがあったが私は常に丁寧な対応に努めたのであった。
「貴方のような紳士的な方が出会い系サイトにいるとは思ってもみなかったわ」
私の戦術は当たっていたと言える。
私は彼女の仕事に話題を振ってみた。
「教師は大変なご職業ですよね?今やモンスターペアレントもいるでしょうから、ご苦労は多いと拝察いたします」
教壇に立つ=ステージに立つ、と思えば授業中というのは実は主役は「先生」なのではないかと思っている。
どんな女性でも話題の中心に置いた方がいいに決まっている。話をさせるに越したことはない。
その中でも「先生」は、よりその傾向にあると思っている。
そして、もう1つ会話を仕込んだつもりなのであった。
つづく