ベンツに乗る女~その2
妄想通り事が運ぶのであれば何事も簡単なのである。
既に出会い系サイトで遊んで7年くらいが経過していたから、この世界でも安易に女性が乗ってくるなどということはめったにないことくらい承知していた。
めったにない…というのは数々の失敗を繰り返しているという意味で始めた頃に妄想していたことはなかなか現実的ではないということである。
一方でめったにない…ということは裏を返せば「たまにはある」ということに他ならなかった。
この時も「たまたま」。
恐らくはタイミングが良かったというだけであろう。
「こんにちは。はじめまして。○○○こと△△と言います。もし、宜しければメールから仲良くなれれば…」
割合長文のお誘いをしてみた。
これは一つの賭けみたいなもので受ける人には受けるがダメな人には一切シャットアウトされるのである。
つまりは女性によっては長文を「丁寧」と受け取ることもあるが、女性によっては「ウザい」とする向きもある。
この時の私の目的を正直に言えば「セックスがしたかった」なのであり、手法は問わず最短距離を目指したかった。
長文にしたのもそれを目指したからである。
無論、相手の職業が「経営者」ということも含んでのことであった。
それがたまたま当たった、のである。
すぐに好感触の反応があった。
「丁寧なメールありがとうございました。友人に紹介されて登録してみましたが、やり取りする人もなく今に至っています。良かったら、メールしましょう」
彼女は登録して間もないと思われた。だからメールが来ていないわけがない、ということが容易に想像ができた。むしろハイエナのような男のメールが来ているに違いなかった。
「やり取りする人もなく」が本当かどうかは別として、メールをやり取りする男には選ばれたということだ。
「友人に紹介されて」というのも脈があると思った。何でも話せる同性の友人に相談したところサイトを勧められた、ということだろう。
サイトに登録していると言ってもいろいろなレベルがあるが、このことが本当ならば男を求めての入会ということになる。
私はどの方向から彼女に「共感」をしていくかを考えたが、ここはやはり「経営者」というところなのかな?と思ったのであった。
つづく