ゲスな男、ゲスな女(9年間の不倫と今の戯言)

40過ぎに女の味を知ったショーもない男のブログです。言いたいこと言うばかりで参考にもなりゃしないと思います。コメントは承認制にしているので、非公開の場合はその旨書いてください。

ベンツに乗る女~その4

約束は平日。
初冬のことであった。

夜仕事が終わるとある駅に地下鉄を乗り継いで私は向かった。
東京という土地はこれほどまでに便利に地下鉄で動けるようになったのだな、と思った。

私はサイトのメールで店に着いたことを知らせた。
その駅は彼女の職場の近くであったから、私が着いてから彼女は出るようになっていた。

私が席に通されると10分もしないうちに彼女は現れた。

にこにこと嬉しそうに笑っていた。
私もほほえみながら席を立ち、彼女を迎えた。

着席すると私は
「オーダーしていたのをお願いします」
と言ってシャンパンを取った。

「あ、ごめんなさい。私、外では飲まないの。普段車で動いているから」

「いや、私の確認不足です。私が飲みますから大丈夫です」

「せっかくだから…今日はここに車置いていくわ」

「かえってすみません」

私は恐縮して乾杯をした。

歳はサイトのプロフィールにあった通りに50過ぎ。少しふくよかであったが若い時はきれいだったのかな?と思えた。

一点、気になるところがあるとすれば若い時に顔をいじっているフシがあった。この整形というのは昭和の時代にやったのと平成、特に最近したのでは差が歴然としている。

その跡が見えたのであった。

それも気にすることないかのように会話を進めた。

こういうことを始めてずいぶん女性との会話は上手くなったような気がしたのであるが、この時は経営者を接待しているようなものだから非常に気が楽であった。

普段通りでいいのであるから。

その店で2時間余りを過ごした。
彼女の家を聞いていた私はそろそろお開きにするのがいいように思ったからだ。

「電車の時間もありますし…ちょっと早いですが今日はこれまでにしませんか?」

あえてこの日は終わりにしようとした。
浮いた会話は次回でいい。
むしろ、礼儀正しさが問われるような気がした。

彼女はややきょとん、とした表情をした。
これはちょっと予想できていた。

間髪置かずに質問した。

「私のこと気に入ってくれました?」

「はい。もちろん」
彼女は我に返ったように答えた。
目は輝いていたように見えた。

「また会ってもらえますか?」
彼女は何度も大きく頷いていた。

つづく