ベンツに乗る女~その5
次のアポを入れるのはかなり楽であった。
最初のデートでの目の輝きは私を受け入れてくれていることは明らかであった。
次は翌週の末に会うことにした。少し長めの時間を取ってもらうことにしたのである。
デートの後にラインのIDを交換した。
サイメの時には1日に2、3回であったやり取りは格段に増えたが、日中は忙しいのであろう、やはり仕事中は一切ラインは来なかった。
いよいよ2度目のデートの日がやってきた。
私はその日は朝から実家にいて、電車で彼女の住む町の近くまで行った。
「普段も車移動だから運転はストレスないの」
と言っていた彼女の助手席を決め込んでいたのであった。
この日のデートはドライブ。
経営者という立場から人慣れはしているな、という印象の彼女ではあったが、「男慣れ」はしていない様子であった。
こうした場合、年齢なんていうのは関係ないと私は思っている。より優しく、丁寧に接しないといけないということになる。
私は実家から2時間ほどをかけて彼女の家に近い駅に行った。
勿論初めて下りる駅だった。
割合大きなロータリーにはタクシーが2、3台停まっていた。
「もう着いていますよ」
彼女からラインが入っていたのであるが、どこに停まっているのかがわからなかった。
いや、ロータリーの入口付近に1台の高級車が停車している。
先入観というのは恐ろしい。それが彼女のものとは思わなかった。しかし、それ以外に車は見当たらない。
その高級車に近づいてみると運転席には満面の笑みを浮かべて手を振る彼女がいたのであった。
つづく