先生を生業とする女~ラスト
ホテルを出る前に電車の時間をチェックするとちょうど彼女の家に向かう側の電車があることがわかった。
このあたりは首都圏では考えにくいことなのであるが各駅停車しか停まらない駅であると30分待ちということなどザラにあるので、春とはいえ寒空の中を待たせるわけにもいかない。
このあたりの配慮は一定必要なわけである。
ホテルからほんの10分ほど駅に彼女を送った。
彼女は私のことを笑顔で手を振って見送っていた。
その姿を見てちょっとホッとしたのだ。
一応不満は抱いていないのかな?と思ったのである。
私は駅を離れるとつい3時間前くらいに身体を休めたコンビニを訪れ、また栄養ドリンクを体内に入れた。
こんなものを飲んだところで単なるさとう水と同じことくらい承知している。
しかし、体調が良くなく、食べ物さえも受け付けなさそうなところに何かを入れたいと思ったのである。
無論それは精力のためではない。
体調の悪い中、平日真っ只中に女を抱いて翌日の仕事に穴を空けては申し訳が立たない。
もう一つはここで一息ついてさっさと別れの言葉を伝えたかった。
既婚女性が夜外出をするということは大変難しいことであることは理解している。周到な準備をしていたのであろう。理解できたから私も体調を押してこの日は会ったが、私の体調の悪さは見てくれでもわかったと思う。
そこを強要するのはセフレという関係でもあり得ない。
私が携帯を開くと何通かメールが入っていた。
先ずはステディに「仕事を終えた」とメールを入れた。そして、その前に入っていたものに丁寧に返信をすると堰を切ったようにステディからメールがきた。
その往来一定収束すると私は別の相手にメールを打った。先ほどまでベッドを共にしていた女性である。
次はいつ会える?
といった内容であった。
もっとしたかったから昼間に会おう、とも。
女である部分を呼び起こしてしまったのであろう。
しかし、私は理由も添えて別れのメールを送った。
それにしてもこの状態でセックスをするなんて、自らが根っからのスケベなのだな…と苦笑してしまった。
それともよく言う「疲れマラ」のような生死を分けるような状態にあると子孫を残そうとする現象なのか?
いずれにせよ、私はこの夜、オスとしての自信を少しつけてしまった。
そして、その自信をまた違う誰かで試してみたくなった。
やはり根っからのスケベなんだね(笑)
おしまい