セックスが嫌いな女~その6
私たちはあるドラッグストアーの駐車場で待ち合わせをした。
正直なことを言うとこの日は仕事を抜け出して逢いに行ったのであった。
この駐車場はステディとの待ち合わせにも使ったことがあった。近くが住宅街ということもあって、週末は監視が厳しかったが平日は監視の目がないことも知っていた。近くに取引先があって何度か使わさせてもらったからね。
彼女の車は目立つ色であったため、すぐにそれとわかったのであった。
私は社用車で近づくと彼女をチラ見し、手を振って存在を明らかにした。そして、すぐ横に車を停めた。
たぶんかなりの緊張をしているのであろう…ということが容易に想像ができたのである。
しかし、車に乗り込んできた彼女はメールでのそれと同様にかなり饒舌であった。
「なぁ~んだ」と拍子抜けしてしまったのである。
お昼ということもあり、そこからすぐ近くのハンバーグの店に誘うと二つ返事でOKが出た。
ハンバーグ店で食べている間も彼女は実に饒舌であった。
しかし、会計を済ませた後に車に乗り込むととたんに口数は少なくなった。いや、なくなった。
私も無理に話題を振ろうともしなかったのであった。
ホテルの駐車場に入った。
車を駐車させる。
うつむいている彼女に一度だけ質問をしてみた。
「どうする?やめておく?」
ランチまでのギャップが激しすぎてそう質問せざるを得なかったのであった。
「行きます」
そう不退転の決意を表現していた。
私はエンジンを止めると助手席のドアを開け、彼女の手を取ってホテルに誘った。
私も緊張をしていた。
手には変な汗をかいていたのである。
つづく