ドン引きした女性からのご提案その2
私はその瞬間、しまったな、と思ったのであった。
私はこの頃サイトでの出会いで怖い思いをしていなかった。
しかし、なんとなく自らの防衛本能が働いたのであった。
それはあまりにも不自然なシチュエーションなわけである。
私がセフレと飲みに行くという時に二人女性がにこやかに隣にいるなど予想さえできない。
これは、やや蔑ろにしてしまったか?と反省したのが遅かったのかもしれない。
よくわからないが法律事務所に勤務する女性に悪事を詰められたりするのか?
一人は眼鏡をかけた私と同世代、これが弁護士なのか?
そして若いもう一人は助手なのか?
変な妄想を膨らませた。
その時の私は全く余裕がなかったと思う。
一度仕事のことで参考人として東京地裁に行ったことがある。
その時の私は堂々としたものであった。
参考人と言っても訴状を見れば、私を訴えているのと一緒であった。
しかし、業務上のことなので、「被告の従業員○○○○」となったのであった。
しかし、この時は微塵も揺るがなかった。
まるで動じなかった。
おさじきの場にいても負けることなんてないと思ったからだ。
なぜならそうした後ろめたい仕事はしたことがないからだ。
訴訟はいちゃもんに過ぎないという自信があったからなんだね。
そう考えた参考人は原告に対して尻尾を出す狐ではなくて、被告の武器になるのさ。
ただこれもまた、こうした女性との出会いが自信をつけてくれたんだけどね。
しかし、この場はそうではなかった。
法曹界にいる者が暴走するほど勇気がないことなど知れていた。
学生の頃、そうした保守的な奴ほど先生商売になっていったからな。
ただ、その時に置かれている状況は違った。
女性二人がいる。
民法上の不法行為としてはお相手と同等なはず。
夫(妻)権侵害はお互い様だ。
この微笑みは私を別の次元で追い込もうとしている。
そう思った。
私は警戒心を強めたのであった。