若き頃の不倫の追憶5~デート代は
私たちはいつの間にか毎週末に会う仲になっていた。
基本的には土曜日に会い、ラブホテルに行った。
私は完全に彼女に狂っていた。
そして彼女もまた、いつの間にか私に狂っていた。
私たちは私が早帰りできる日には彼女が途中の駅まで車で来てくれ、ラブホテルに行くことさえあった。
割合若くして結婚した彼女もまた、実はディープな恋愛をしたことがなかったのかもしれない。
たまに飲みに行くこともあった。
最初はあまり酒が強くなかった彼女が私の影響で飲めるようになっていた。
これらのデート代というのは、全て私が持っていた。
彼女は時々、私の財布を気にしてくれた。
「いつも大変でしょう?ホテル代だって出してもいいんだよ」
「全然大丈夫。気にしないで」
私はそう答えていた。
現実を言えば「火の車」であった。
新入社員の頃に付き合いを開始したのである。
実家に金を入れ、車のローンを支払い、彼女とデートをすれば給料は底をついた。
この頃~バブル弾けた直後~は都内近郊はラブホのサービスタイムをやっているところが少なかった。
だから週末1日中ラブホにいれば結構な金額になる。
飲みに行くのも「居酒屋」というのは少なかった。
二人で飲み食いすれば20000円近くかかった。
たまにプレゼントもした。
それはそこそこのものを渡していた。
しかし、私は彼女にデート代を支払わすことはなかった。勿論、そういう時代であったと言える。
彼女は良家の出であった。
更に彼女の旦那さんは高額所得者であった。
だからこそ、デートのレベルはあまり下げることはできなかった。
そして専業主婦の彼女にデート代を出させることは旦那さんに負けている気がしたのだった。
「武士は喰わねど高楊枝」
私は平静を装って財布を開け、カードを切った。
その姿勢は勿論、今でも変わらない。
当時と違うのは支払いをして冷や冷やしないところか(笑)
今の彼女さんとセフレさんは年収が高いことは前も言ったかもしれない。
だから言うんだよね。
「割り勘にして」
と。
彼女たちの社会での立ち位置は十分にわかっているつもり。
そして、そう言ってくれるのはありがたい。
でもね、これだけは男の意地だから譲れない。
繰り返しになるかもしれないけど、それは「時代じゃない」と言われてもね。
だから粉骨砕身して働けるのさ。
つづく