バブル期に弾けていた女~その4
「このあたり不案内だからラブホの場所教えて欲しいな」
冷静に考えればそんなことはあり得ない。
だって会うなり「セックスしよう」などという男である。不案内であってもラブホの位置くらいは確認しているはずなのである。それが目的なのであるから。
現に私はこの町のラブホの位置を確認していた。
お決まりのインターのあたりに三軒ほど、街中に二軒、海沿いに二軒。そして夜が一杯でなければデイユースのできるビジネスもいくつかあった。
「うん。ナビするね」
なんの疑問も持たずにそう回答してきたところを見ると彼女もまた私とセックスをすることに抵抗がないようだし、もっと言うと「慣れてるな」と思ったのであった。
それはそうだろう…
どんな心境かわからないが、向こうからいきなりサイメで「セックスしませんか?」と言ってきたのである。
勿論、この時はそんなメールを送ったことさえ忘れているのであろうが、その当時に私にスルーされた瞬間に他の男にも同様のメールを送っているのだろうな?と思ったのだ。
「こんな旨い話はないよな」と私は避けたが、普通はこんなに旨い話はない。そして恐らく何人かの男に身を任せているのであろう。
そして、彼女には彼氏がいることはサイメでわかっていた。既婚者ではあるが、その彼氏に付いていきたいというようなこともサイメで書いていた。
その彼氏は私の住む町にいた。
私の住む町で会う話もしていたが、「それはお互いにとってリスク」ということで彼女の住む町の近くで会ったのであった。
この女性に手を出すことはかなりの危険を孕んでいることはわかっていた。
「次、左折して」
海沿いにあるこのラブホはこの地区では一番きれいであることを私は知っていた。
つづく