ベンツに乗る女~その23(ラスト)
その日は享楽的に朝まで過ごした。
お互いにセフレと割りきってお付き合いをしたことがセックスに傾倒できたことであると思う。
酒を飲みながら、気が向いた時に腰を振る。
セックスだけを考えたら、理想的な関係だったと言える。
その後も夜に会って一晩中セックスをするという関係が数回続いた。
何ら無理することがない、ストレスフリーな関係であった。
経営者であった彼女は今までのセフレにはない余裕があった。ともすれば男である私が包み込まれている気分にさえなったのであった。
しかし、ステディを失った私の心はまったく埋まらなかった。
彼女を抱いたところで何ら心は埋まらない。
続けることで彼女への申し訳なさと同時に自分への情けなさが生まれた。
数回同じような出会いを繰り返した。
ひとつひとつの夜は私が後にも先にもしないであろうSチックなプレイに終始した。
感謝している。
しかし、私から別れを言った。
「そうなのね。わかったわ。貴方には女としての自信をつけてもらった。ありがとう」
どこまでも余裕のある人であった。
私も人の上に立つことがあればかくありたいと思う。
おしまい