隣の芝生
隣の芝生は青い。
これが人を浮気に誘う(いざなう)ことの一つではないかな?と思う。
不倫ではない、浮気だ。
ちょっと違うもの、しかもそれはいいものではないのかな?新鮮ではないかな?と思ってしてしまうものではないのかなと思うのである。
ただそれは表面上のもの…ということも薄々気づいていながらも、そしてそこに執心するには子供などの背負うものが大きく、更にはそれをすることによって自己否定に繋がるということから浮気程度に留めているという人も多いのではないかなと思う。
私がこういうことを始めようとした時にはそれに近いものがあったことは否めない。
経験が少ないままに男を終えることの淋しさを感じた時に他を見てみたい、という感覚になったのが事実なのである。
しかし、その程度のレベルで臨んだにもかかわらず、もっと高いレベルの受け手とならざるを得なかったことで隣の芝生に入る程度のことは否定されたのであった。
それは枯れているのか青いのかという話ではなかった。心地が良い部分があったからこそ、そこに留まっていたことには違わないが、既に足抜けできない泥沼に踏み入れてしまっていたのである。
だからむしろ、隣の芝生というレベルの話はステディあってのセフレを求めていた頃の経験が近いと思う。
相手もまたその程度の考えで私に接してきたというものであった。非常にライトな感覚なのであった。
お相手はどう思ったかは知れないが、少なくとも私は泥沼の方が心地良かったがために一つの庭の芝生に留まることをしなかったのであった。
前のステディと別れた時にこの先は浮気程度のことで留めようと思った。 そして、しばらくそうしたのであった。
しかし、そこで適当に寝ころんで日光浴をし、日が暮れれば自らの家に帰ることはあまり日常と変わらないという心持ちになってしまっていたのだね。
だから決して心持ちよいだけのお付き合いではないということを含んで今のお付き合いがある。
もちろん、だからといって美化できるものではないのである。むしろ汚ないものと思っている。
しかし、止められないし、エンドも思わない。
こうして深みにはまっていくことを意識するのである。